「大空小学校」とは

2006年に開校した、大阪市住吉区にある公立小学校です。

さまざまな個性の子どもたちが、ともに学びあう姿を撮ったドキュメンタリー映画『みんなの学校』が作られています。

 

臭いにおいがするレイくん

「それぞれ事情があるので我慢しましょう」といったきれいごとで、子どもたちの関係は決して成り立ちません。

 

「臭いのを我慢してレイのそばから離れるのはおかしいやろ?」

「みんなレイのこと、『おまえ、臭いな!』言うてるけど、その『臭いな』は今から言う、どっちの自分から出る言葉なん?

一つは『お前臭いからあっち行け!』っていう自分?

それとも『一緒に教室にいたいから、なんとか臭わないようにしてくれ!』っていう自分?

どっちの自分なんか聞かせて」

レイには「臭いで。自分でできることをし!」と促し、校長室にシャンプーと石けんを用意しました。

 

小学校卒業後のレイくん

中学校の担任が、レイのことを「僕に任せてください」と母親に力強く言ってくれたと聞いて、安心していました。

ところがある日、体育の時間に「白いシューズと白い靴下を持っていない人は靴下を脱げ」と言われ、黒い臭い靴下を脱げないレイは抵抗しました。

体育教師に首ねっこをつかまれ、床の上を引きずられたレイは意識を失ってしまいました。

その事件後、レイは中学を休みがちになりました。

 

「引きずった体育教師とか、それを笑って見とったクラスメイトとかじゃないねん。

もう、おれ、学校には行かれへん、と思った理由な・・・」

実は、体育教師がレイを引きずったとき、その場に担任がいたそうです。

「けどな、担任な、なんも言わんかった。

ひと言も言わんと、止めてくれへんかった。

おれのこと守ってくれなかった。」

「おれな、担任の先生、信用しててん」

 

その後のレイくん

大空小学校のドキュメンタリー映画を見終わった後、彼はこう言ったそうです。

「おれって、こんなに大事にされていたんやな。」

彼は今、児童自立支援施設で働きたいという夢をもちはじめました。

 

脱走するレイジくん

すきを見て全速力で走り去るレイジを、担任の女性教師が毎日追いかけます。

ある日、雨でぬれていた廊下に担任が足を滑らせ、「ドスーン」としりもちをついた音が響き渡りました。

すると、脱走しかかったレイジは、戻ってきて担任に寄り添うようにしゃがみ込み、お尻をさすりながら「痛かったね」と声をかけました。

全校朝会でその話をしたところ、周りの子のレイジを見る目が変わりました。

その後、レイジが学校を脱走することはなくなりました。

 

「たったひとつの約束」

大空小学校には校則はありませんが、「自分がされていやなことは人にしない。言わない」という『たったひとつの約束』があります。

この約束を守れなかったら、「やり直しの部屋」と呼ばれる校長室へ行き、ほんの少し前を向いた仲間が教室に戻ってきます。

失敗しても「やり直しができる」空気は、子どもたちに安心感を与えています。

 

話の終わりに「わかった?」と言わない

気持ちを振り返り、次にどうしたらいいかを理解したと思った瞬間、「わかったやろ?絶対せんときや。」と言うと、「やりなおしの部屋」は説教部屋になってしまいます。

大人に説教されたあとに、「わかった?」と念を押されると、子どもはほとんどの場合うなずきます。

それは、説教がはやく終わることを知っているからです。

 

また、授業の終わりに「わかりましたか?」と言うと、子どもは必ず「はい」と言います。

そこで、「わからないところはどこですか?」と問いかけをすると、空気が大きく変わります。

 

けんかの仲裁

絶対に、正・悪のジャッジをしません。

大人は、「そのとき、どう思ったん?」「なんで、そう言ったん?」と、子どもと子どもの気持ちの通訳に徹します。

そうすることで、自分にない違いをもっている友だちの気持ちを理解できるようになります。

 

まとめ

他にも、考えさせられるエピソードがたくさん紹介されています。

富山市では10月に「みんなの学校」の上映会と初代校長の木村泰子先生の講演会があったそうですが、私は残念ながら観れませんでした。

機会があれば、ぜひ映画を観てみたいです。

 

暗いところから、明るいところはよく見える。

明るいところからは、暗いところは全然見えない。

暗いところにいる子どもの心を見ようと思ったら、『見よう』と思わないと見えない。

『見よう』とする大人になるとともに、子どもが安心できる居場所をつくるという意識をもつことが、子どもをこれ以上死なせないことにつながる。